ペット
今週のお題「鍋」
もう10年以上前のことだ。
学校から帰ると自宅の車庫に大きなプラ箱が鎮座していた。
中を見るとぺったりした鼻の尖ったカメが…これは…そう。すっぽんがすいすいと動いていた。
なんだか深すぎる深緑色のシブいヤツ!と思いつつ父親に出処を聞いてみた。
二千円だったんだよ。と、父。へー。すっぽんってそれくらいのお値段なんだー。
すでにこの時点で何かの予感に心がざわついていたが、それはさておきすっぽんちゃん、やはり亀なので日光浴とか好きかしら?と、たまに日当たりのいい場所にケースを移動させてみたり、餌を与えてみたり。それなりにいい関係を築けていたんじゃないかと思う。
爬虫類、両生類といえば冬眠。
爬虫類の生態について書かれた本に習って神社で落葉を集めてきてその冬を無事に乗り越えたすっぽんちゃん。
春にはまた元気にすいすいしていた。
心なしか、なんか大きくなった気もするね!
と、季節は巡りまた秋になる。再び神社で落ち葉を集め、眠りについたすっぽんちゃん。おやすみ!また来年の春にね!
察しのいい方はタイトルからお気づきだろうけど。
すっぽんちゃんに春は来なかったっていうね。
すっぽんちゃんが二度目の冬眠に入った年末。
家に帰るとガンガンにストーブを焚いた部屋ですっぽんちゃんに遭遇。
あれ?冬眠の邪魔はしちゃいかんのだよ!とか思う間もなく、どこにそんなの隠してたんだ?というサイズのまな板を持って父登場。
あ…そういうこと?
え?マジ?免許とかいらないの?と思ったが毒のある生き物ではないので免許もクソもないんだろう。
おもむろにすっぽんちゃんを手に、まな板に裏返しにのせた父。
振り下ろされる包丁、もうどこから突っ込んでいいのかもわからず、ひたすら見守るわたし。
翌日、生まれて初めてわたしはすっぽん鍋を食べました。
え?あじ?
おいしかったよ?
その後、冬の恒例行事になったすっぽん鍋。
食べた分だけ甲羅(すっぽんって、甲羅が柔らかいんだけど骨組みみたいなのが甲羅のところに入ってるの)が増える。
ちなみになぜか爺ちゃん(人間らしい心を持ち合わせていたのかなんなのか、一切口にしなかった)がこの甲羅に穴を開けて紐を通して引き出しに入れてたな…あの頃からボケてたのかな…
こういう話は賛否両論あると思うんだけど、今の時代になかなかレアな体験が出来たってことだけは確かなんだよなー。
そんなわたしの鍋の思い出でした。
最近髪を切ったら一昔前のおなべみたいになった、というのはまた別の機会に。